旅の記録~蜷川シェイクスピアの風景を求めて “お気に召すまま”編
2.『お気に召すまま』のアーデンの森
ウィルムコート
戯曲のアーデンの森は、フランスとベルギーの間にあるという設定(シェイクスピアって間が好きなんですかね?)。だがストラットフォード・アポン・エイヴォンの近くにもかつてアーデンの森はあり、シェイクスピアは故郷の森をイメージして書いている部分もあるらしい。
残念ながら現在この一帯は、整地されて、一面の野原が続いている。森というより茂みくらいしかない。とはいっても「一度は見ておいたほうがいい」と翻訳家・松岡和子さんに薦められて、メアリー・アーデンの家に行ってみた。
ストラットフォードから一駅行ったウィルムコートと言う駅にあるシェイクスピアのお母さんの家で、当時の農家の暮らしぶりがわかるテーマパークみたいなところだった。農婦や鷹匠など、当時の民衆のコスプレしている係りの人などがいた。
奥に散策路があって、羊をながめながら、茂みに分け入っていくと、『お気に召すまま』の登場人物たち(というかシェイクスピア)が、こういう地面を踏みしめて、枝をかきわけ進み、木漏れ日を感じ、草の匂いを感じ、鳥や獣の声を聞いていたのだなあと思うことができた。
ちょうど、行った時期が、シェイクスピアの誕生日近辺だったので、こんなふうに新緑が萌え、花が咲き乱れたいい気候に生まれたから、花や植物を作品に盛り込むのが好きだったのかも…と考えてみたりした。
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